10月のはじめ、建築士会の活動の一環でお声がかかって、高校生とのワークショップのようなものに参加した。車で小一時間の距離の屋代というところの高校で、エコ住宅の案を考えてもらうという内容。長野建築士会で高校生を対象にエココンテストというものを開催しているそうで、それに応募するための素案を作るお手伝い。
工業系で建築を学ぶ高校に行くこともあるそうだが、今回行った先はライフデザイン科のフードコースの高校1年生ということで、案の起こし方も人それぞれ。自分の地元の魅力を挙げる→それを住宅に生かす方法を考える→案を作るという流れで、1グループ4人の高校生に2人の大人が混ざってあれこれ話しながら進んだ。
それぞれの地元について、自然の景色の魅力などをしっかり自覚しているのが頼もしい。思えば自分は、東京のベッドタウン然とした埼玉の郊外住宅地に住んで、ずっと電車で東京に通って、どちらの祖父母もやはりそんな感じの郊外に住んでいて、まあ懐かしい風景やお気に入りの場所、馴染んだ空気はそれなりに蓄えているけれど、どこかに「地元」という愛着があったかというと心もとない。
そして食物系のコースということもあるのだろうけれど、住宅での生活のイメージがたいぶ具体的で、台所の横にさらっと畑を書き込んだりするのも、日常生活のなかで畑から食材を取ってくるのが自然な生活環境なんだろうなと感じる。そんなこんなで、なかなか新鮮で楽しい時間でした。同時に、おとなしいグループだったにもかかわらず、若者との会話でエネルギーを吸い取られたような、心地よいと言えなくもない疲労感を感じたのは、なんだろう、なんかこう年齢差の起こす浸透圧みたいなものでしょうか。
そして先の土曜は、これまた長野建築士会のイベントで伊那谷の駒ヶ根でのシンポジウムや見学会だった。これまで伊那谷に足を踏み入れたことがないし、紅葉の季節の中央アルプス・南アルプスだしな、と期待して参加したが、だいぶ南に位置するせいか、町に近いところの紅葉はあまり進んでおらず、高い山はこの長雨で霧と雲に閉ざされていた。とはいえ、霧の風景でも豪快なスケールの地形は感じられ、あとになって少し雲の切れ間が出た時に見えた山脈の連なりは文字どおり想像の斜め上をいく高さで、見慣れた佐久平周辺の山とはだいぶ違いますね、と同じ地域の人と話し合ったりして、私もそれなりの地元感覚が出来てきたようです。