活用どうでしょう

ブルーベリー畑
うちの大家さんのブルーベリー畑の紅葉。

まさかの2週連続の台風に吹き飛ばされながらも、それぞれの木々が思い思いの紅葉を見せている。ブルーベリーなどは低木ながら緑の葉と赤の葉が混じるのでなかなか華やかだ。

今年の春頃、空き家になっている佐久市内のお宅についてご相談があった。ご両親が他界され、ご自分たちはみな東京や横浜に住んでお仕事で忙しく、いまのところは佐久に戻って住むことは考えられない。けれどもお父様が気持ちを込めて建てられた広い平屋のお宅は、敷地も広いし、ただ壊すのではなく何かに使えないだろうか。自分たちが休暇に帰る先も残せれば、よそに旅行に行くよりは佐久の空気は気持ち良いし、周囲に親戚もいる。とはいえ人が住まない家は急に荒れていくのでそろそろ何か考えないといけない、というお話だった。

とりあえず現地を拝見すると、臼田という地域のの田んぼと住宅街の混ざる日当たりの良いのんびりした地域に、南北二本の道路に接して広いお庭に大きな瓦屋根の平屋のお宅。庭で猫の親子が昼寝をしていた。1966年にまず半分、そのあと1979年にもう半分を増築したそうで、中をぐるっと見せていただくと、表面的な仕上げは確かに数十年の劣化があるし、生活していた時の荷物がそのままで(地元の広いお宅はみなさん物資の蓄積量が驚くほど多めです笑)、失礼ながら素人的な思いつきの小さいリフォームで室内の通りもごちゃっとしてしまい、佐久市の空き家バンクみたいなよその人がぱっと見に来ると次の展開は考えづらいかもしれない。

第2期側の現況写真。このほかにも見回すとブランコがあったりして、ご家族で庭もだいぶ楽しまれた様子。
第2期側の現況写真。このほかにも見回すとブランコがあったりして、ご家族で庭もだいぶ楽しまれた様子。

けれども歩き回って頭の中でそういう表面的なものを取り払って見ると、普請道楽の気があったらしいお父様が当時のしっかりした大工さんに頼んで、当時のしっかりした材木で骨組みを作ったと思われ、頼りないヨロビがなく、おおもとのフレームは余裕がある寸法で、いま新築でこういう感じをやったらなかなか贅沢だろうな、という感じ。そしてご家族が数十年しっかり生活を重ねてきた日なたの空気感がプラスされて、なんとも居心地がよい機嫌の良い建物に感じられ、お世辞でなく、なんだかただ壊すのはもったいないですね〜という感想をお伝えした。

さしあたって特に次の手を急ぐわけではなく、納得のいく進め方をしたいというお言葉に甘え、まずは全容を把握するために後日に実測調査をして現況平面図を作らせてもらった。それなりに怖がりの私だが、ご先祖の写真やお仏壇もあるまったくの空き家を1人で数時間動き回っても平気で、やはりどこかしら土地なり建物なりご家族の時間なりの醸し出す機嫌の良さが(とかいうとスピリチュアル系みたいですけど、場所にはやはりそういうものがあると思います)漂っているお宅だ。

現況平面
現況平面。左右に道路。右半分が第1期、左半分に第2期を増築してつないだ感じ。将来に子世帯が同居すればと思って作ったっぽいんです。。と。(クリックで拡大)

増築部の風通しの良い座敷、お父様がだいぶ凝って作った広い居間兼書斎、私が見てもテンションの上がる名作児童文学や昭和の名作漫画の大量の蔵書を生かして、場所を借りて学習塾とかこども食堂のようなコミュニティ活動に活用してくれる人でも現れないだろうかと自由に想像をふくらませて、そんなことができれば何よりなんだけど、と相談者ご本人もおっしゃったりしていたが、現実には荷物の片付けや今後の建物維持に手を入れる費用も捻出しなければならない(もちろんそこまでケアしてくれる運営者が現れればすばらしいですが)。

 

そうすると普通の勤め人であるご家族にとって、全てを持ち続けるのは難しい。地元の不動産屋さんに相談に乗ってもらいつつ、幾つかの解体パターンと土地の分割パターンを試算した結果をご提案して、基本方針をオーナーご家族で検討していただいた。その結果、増築された側を縮小してオーナーの滞在用に残し、古い側の敷地を売却する方針となって、不動産屋さんに広告を出してもらっている(→リンク)。売却が決まったら、その代金で解体をする。二つの敷地としてみれば北側の売却だが、南の既存のオーナー宅は平屋で端に寄って建っており、しかも広い庭を借景にできるので、下手な分譲地よりよほど条件は良いと思う。

解体して住宅用地とすれば、こんな感じです。
解体して住宅用地とすれば、こんな感じです。

現実的にはそのあたりが落とし所とはわかっているが、私から見るとやはりこのどっしり落ちついた建物がもったいない。

全面改修は確かに費用はかかるし、建売なんかだと同じような値段で新築も設定できるけれど、その値段でこの感じは出ない。古民家とは違うが、数十年を経た木造のしっくりくる感じ。そして注文住宅で新築するよりは安い。このフレームで余分なものを取り払えばけっこういい感じの間取りにして気持ち良く使えるのに、、、気に入って使ってくれる(物好きな)人がいないだろうか、、、そうすれば解体費分、多少の土地の値引きも相談できるはず、、ということで大雑把ですがリノベーション案も作ってみました。

リノベーション案
ラフな図ですが、既存建物を使ったリノベーション案。クリックして拡大します。

庭と一体のゆったりかつコンパクトな平屋、贅沢でいいと思うのですが、いかがでしょうか。個室を3つにしてシェアハウスとかプチ社員寮とかグループホーム、サテライトオフィスとかもできる気がします。事業運用は専門外で自信ないけれど、その場合は20年くらいの定期借地・借家で建物現状復帰不要とかで成立しないかしら。。。。その場合はオーナー別荘側の書斎や庭も使えるかも。

活用どうでしょう!   ご興味ある方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

第1期側の現況写真。この軒下で猫の親子がのんびりしてました。
第1期側の現況写真。この軒下で猫の親子がのんびりしてました。