上田の役所で用事を終えたら昼どきになった。午後も軽井沢で用事があってあまり時間がないので、移動前にさっと何か食べたほうが良さそうだ。上田の街はまだ不案内なので、とりあず駅前に車を止めて適当なお店に入ろうとコインパーキングをを探し、前の車に続いて駐車場に乗り入れた、、、つもりが、その一本手前の路地に入ってしまった。
仕方なくそのままゆっくり進むと、前の車が路地の先の別の駐車場に入った。「肉うどん」「中村や」「専用駐車場」としつこく掲示してある、わりと大きい駐車場。この実用的な風情は地元の老舗ではないだろうかと瞬時に判断して私も後に続いた。入ってみたら案の定とても古くから親しまれているお店らしく、看板の「肉うどん」は、馬肉からとった出汁に甘辛味の柔らかい馬肉が乗った優しい味のうどんで、ちょっと風邪気味だった胃があたたまりました。
あたたまって向かった先は、軽井沢の林の中の進行中の現場で、古〜い家屋の横の空き地に、大工さんと発注者がチームを組んでこつこつと小さな納屋を作っている。秋にスコップで地面を掘るところからスタートし、それぞれにお仕事が忙しい時期があってスケジュールは遅れ気味、雪が降り始め日が短くなってきてしまいましたね。。と言い合いながらこつこつと。
限られた予算のなか、他の用途に使っていた材木があるのでそれをリサイクルし、クライアントも施工に参加するなどの工夫で実現したい、ということで大工さんが相談を受け、私も誘っていただいた。建物の大枠の構成と材の使い方や寸法を考えて図面は書いたが、それを実際にどうやって作り上げていくかは、プロセスごとに相談し、それぞれが意見を出しながら、文字どおりクライアント自身が柱を刻みながら進んでいる。私は現場が始まればもっぱら様子を見に行って苦労されているお話をうかがう専門で、あとはたまのお掃除程度しかできておりませんが。。。
クライアントはベアドッグ(クマ対策犬)を使ったクマ対策の専門家で、この納屋で来春にそのベアドッグが子犬を産む予定だ。犬好きにとっては大変テンションの上がるお仕事です。
人力作業で少しずつ納屋の大きさや高さが形になっていく中で、クライアント自身が各部分をこう使おうかああ使おうかと考えながら進んでいく様子が、セルフビルドの真骨頂という感じで、私にとっても本当に貴重な経験となっている気がする。
音頭をとる大工さんにしても、ごく普通の小屋ならお茶の子さいさいなのだろうけれど、ちょっと違う造りになったばかりに、頭を悩ませながら、けれどもそれを面白がりながら進めてくださっていて、本当にありがたい。工場で材を加工して持ち込むプレカットが一般的な今、墨付けや刻みの作業など実はじっくり見たことがないので、解説付きで間近に見るのもまた貴重な経験をさせてもらっている。
この先、まだまだ仕上げの山場がいくつもあるのだが、凍結や積雪は大丈夫だろうか、、、、クライアントご自身が一番心配だとは思うのですが。