2016年の10月から取り組んでいた軽井沢町内の店舗用の建物が、先週ついに竣工引き渡しを迎えた。
旧軽井沢銀座の通りの中の細長い敷地で、オンシーズンはほぼ歩行者天国のような人通りの多い場所なので、冬の人通りの少ない期間をねらっての工事。極寒、狭い足場で、関係者の皆さんの苦労と近隣の方々のご理解ご協力あっての竣工です。
手元に残っている当初の模型は、できあがったものとは結構ちがう形状だったりして、、、いちおう私も力不足ながらに要望と与件にお応えするべく苦労と尽力いたしました。今回の私の担当は、オーナーさんの本体工事分なので、店舗の入れ物となる外側の部分の建物。テナントさんの看板やお店の中身は設計も施工もまた別の会社の担当となる。
さっそく引き渡し当日も内装屋さんが什器を運び込んでいて、気づけば棚下照明も点灯している。ここから1週間で開店だそうで、いつも店舗内装の工事のスピードにはびっくりする。和洋のお菓子の軽井沢みやげのそろう老舗で、わたしはくるみの形の最中がお気に入り。近くをお通りの際はお立ち寄りください。
ちなみに1階のお菓子屋さんの奥のスペースは、オーナーさんがコーヒーショップを企画中、そこから登った2階はまだ用途未定で当面は倉庫だが、できてみたら勾配屋根が広々として、商店街の喧騒の頭上の明るい空間になった。ヨガスタジオやアートギャラリーなんかに良い気がするのですが、いかがでしょうか。
話は変わって、昨年たまたま知り合った不動産屋さんの方と、私にとって初めての建売住宅に挑戦することになった。建売っぽくない建売をやってみたいというその担当の方のお話に心を動かされて、「なんかこう、かっちりしたいい感じのものができるといいですよね!」ということで始まったプロジェクトだ。
その後の紆余曲折を経て、思いがけず隣どうし2軒並ぶ形で順に建てていくことになり、このあいだの雪解けから1棟目の工事が始まっている。大きな別荘地内のコンパクトな敷地で、こじんまりと使いやすい(であろう)2階建ての建物を計画した。
あまり設計事務所が入ることがないのではと思われる事業形態に、私が関わる時間と予算を作ってもらったわけで、とはいえこれまでのオーダーメイドのプロジェクトに比べると時間も予算も制限はあり、そのなかで各担当者と逐一相談しながら工夫しながらで進めている。
軽井沢の別荘地で建売を買うお客さん層に対し、私が担当すると地味すぎるものになるのではないかという一抹の不安はあるのですが、地味好みな人もきっといると信じて、心を込めて設計しております。普段はクライアントから直接要望や好みを聞き取りながら設計するので、誰が使うか分からないというのは不思議な感じだけれど、どうすれば架空の相手が喜ぶかという妄想力の世界、、、そういえば賃貸マンションを担当した時もこんな感じだったかも。
どちらも薪ストーブ付き、1階に床暖房付き、南側に庭とデッキ。パントリーなど収納もあって、別荘地ながら定住も可能な内容となっております。(宣伝)