2月は短いと言っていたが、3月も短かった。
11月ごろからタートルネックが手放せなくて、人前で多少あらたまる時か、東京の室内で汗をかきそうな時以外は、毎日タートルネックのニットを取っ替え引っ替え着続けていたが、3月末の今日、ついに襟のないクルーネックを着て御代田で過ごしている。
とはいえまだまだストーブの必要な気温。ふとすると雨に雪が混じったり、夜8時前なのにもう車の屋根に霜が降り始めていたりする。
引き続きばたばたしているなか、久しぶりに楽器を弾きに行く機会があった。ちかごろどうやら「音」が足りねえ、、、と思って2週間ほど前に約束はしたものの、その数時間を仕事にあてれば進むであろう作業を思い、さらに花粉のせいか気温の上下のせいか、なんだか頭の鈍痛もあり、当日もぎりぎりまで行くかどうかぐずぐず迷っていた。(自分から言い出しておいて!)
でも過去の経験にてらせば、こういうときは行かずに後悔より行って後悔のほうがまだましなはず、と思って、えいやと出かけた。
はじめのうちは久しぶりすぎて体も慣れず、引き続き頭痛があり、「行って後悔」のほうかな〜と思いながらスロースタート。が、他の人の都合もあって終わりの時間は決まっており、時間がもったいないからと無理やり弾いているうちに頭痛も忘れて無心になり、そろそろ片付けなければという頃には、怠けていた指が痛くてちょうど限界、もう弾けません、といいながら満足して自然に片付けに入った。
そして御代田へ帰って再び仕事の机に向かってみると、なんということでしょう、行く前に比べて頭痛も消えて頭は軽く、ここ数日悶々としていた作業もすいすい進む。何かがチャージされたのか、あるいは発散されたのか、やはり「音」が足りなかったようです。
ずっと仕事部屋に引きこもって図面を書いていて、あるところで悩み始めると、思考がそこから進まなくなり、時間の流れが分からなくなることがある。一方で音楽は否が応でも一定のテンポで進んでいってしまうので、考える前に弾く、みたいな状況に身を置くことになる。停滞しかけた頭をほぐしてくれるので、下手の横好きながら、ときどき楽器を弾く時間が必須らしい。ということは前にも書いた気がするけれど再確認。
仕事が趣味で、四六時中仕事のこと(建築のこと、と言い換えてもよい)を考えても苦にならないという人もたまにいるようだが、私にとって仕事は趣味ではないらしい。「それ以外」の時間をとることで、バランスが取れて、結果として仕事の効率も良くなる気がする。作業が立て込んだので引きこもってずっと仕事、みたいな日々は、効率も落ちて、時間の感覚もずれて、危険かもしれない。この冬の自省も込めて。
翌週に、またちょっと頭が停滞しはじめた頃の打ち合わせで、お互いの都合で夜の時間に外での打ち合わせとなった。夜8時をすぎても開いているファミレスなど思い浮かばない御代田・軽井沢エリアなので、ハルニレテラスのインド料理のカフェにしてみた。駐車場からせせらぎ沿いの暗い小道を歩いて、おさえめの照明の灯った夜のお店に入るのは、打ち合わせだけれど久しぶりの夜遊び感(とはいえ21時にもならない)があり、思った以上に心が躍った。毎日見ている自分の部屋の情景とは切り離された空間と時間。そしてやはり、翌朝の頭の軽さとはかどり具合よ。
仕事のためにも、時々は趣味の時間も必要だし、外に出ることも必要だとあらためて実感した慌ただしい3月も今日で終わりです。