事務所を移転して1年9ヶ月、看板を出しました。
事務室に座っていると、初めて訪ねてきた方の車がそろそろそろと通り過ぎていって、すこしして「どこでしょう」と電話がかかってきたり、
おっとっと、とバックして戻ってきたり、
自宅玄関側のところに車を寄せて自宅側のインターホンが鳴り、すみません畑側のガラス戸のほうにお回りください、とお願いしたり、
事務所の所在と駐車スペースがわかる看板がいるなあとはずっと思っていた。
素材は何にしようか、とか、注文して切り文字にしようか、とか思っているとなかなか進まないので、とりあえず手作り看板でよしとすることに。思い立ったのが8月の終わり、工事の残りの端材の板を見つくろい、文字の大きさを決める。すこしずつ夜なべ仕事で画用紙を切り抜いて、ステンシルでペンキを載せてみた。ところどころにじんだが、それも暖かみがあって良い、という解釈で10月に入ってようやく設置に至った。ハーブと雑草が共生する庭になかなか合っているのでは、と悦に入る。さっそく、向かいの畑をやっている方に、「設計事務所だったんですね」と声をかけていただいた。
そうこうしている頃、御代田町から、コロナウイルス感染症拡大により影響を受けている町内の事業者を支援するため給付金を支給します、というおしらせが来た。ありがたい。が、その申請書の添付書類に、「店舗名等が入った事業所の外景写真」とある。タイミングが良すぎる。あのうち給付金の申請のために看板立てたわ、と思われているのではなかろうか。。。ちょっと恥ずかしい。
なんにせよ、来る方が便利なようにと思って作ってみた看板だが、出してみると、ひっそりやっていたものを表に出すような、逃げ隠れできないような、少し気合が入るような心持ちになったのが思いがけない変化だった。
そしてもうひとつ、この道の2軒先に、私が移転してくるよりずっと前からすてきなおうちカフェがあるのだが、そこを目指して来た車がこちらの駐車場に入って来て、入口はどこかな、と探す方に、「この2軒先ですよ」と案内して、「カフェに間違われちゃった♩」とほくそ笑む遊びがもうできなくなってしまうのが少し残念でもある。